◎「半農半X」のひびき!

◆「半農半X」とは?
半農半Xとは「半農半Xという生き方」(塩見直樹・ソニーマガジンズ)で提唱された「農的暮らし」を生活に取り込んだ暮らし方です。
「小さな農業で食べる分だけの食を得て、ほんとうに必要なものだけを満たす小さな暮らしをして、好きなこと、やりたいことをして積極的に社会とかかわっていくこと」と本の中では書かれています。
要は自給自足的な農業(小さな農業で食べる分だけの食を得て)をやって、金銭を得る方法は他に求める(社会とかかわっていく)って事みたいです。
◆あれ?じゃあ自分も「半農半X」?
と、なると私も「半農半X」なのかもと思いました。
ヘイシャ、合同会社SumSumは長野県松本市の中心市街地にほど近い浅間温泉という温泉街で「下宿」(を冠したシェアハウス)「篶竹荘」と「第2ペンギン荘」をやっています。
みんなにとってちょっと楽しい「ふつうの暮らし」を提供すべく日々だらだらと奮闘しているのですが、2015年に「篶竹荘」を始めたころから60㎡(200㎡くらいに拡大したこともあります)ほどの畑を借りています。
自分が楽しくなければみんなにも「ちょっと楽しいふつうの暮らし」を提供できないと思い、借りる機会があったので畑をやってみたのです。
気付けば10年近く畑をやっているわけで、完全に私の「ふつうの暮らし」に溶け込んでいます。
◆専業農家とか兼業農家との違い
さて、そんな「半農半X」ですが、専業農家とは違うなというのはわかりますが、兼業農家と同じこと言ってんじゃないかと思ったりします。
言い方変えただけじゃん!・・・と。
ちょっと調べてみると、
●専業農家→農業のみを営む。
●兼業農家→世帯のうち他の「業」を併せて営む。
とありました。
●半農半X→小さな農業で食べる分だけの食を得る。
なので、半農半Xは「必ずしも農業で収入を得ることを目的としていない」と言えそうです。
それでも、言葉の意味が広がり、規模も特に決まっているわけではないので農業で収入を得る半農半Xもあるようです。
その辺になると兼業農家と半農半Xの定義があいまいになってきますが、アプローチとして、
●兼業農家→農業だけから脱却するために外で業を営む。
●半農半X→外で業をやっていたけれど、農業も営む。
みたいな感じで、矢印が逆に向いているという定義を組み合わせれば、ちょっと別の意味合いが込められているんだなとわかります。
◆家庭菜園の自給率を上げた感じね。
つまり半農半Xは、農作物を売る売らないは重要視せず、家庭菜園レベルからもうちょっと自給率を上げた感じなのかなと思います。
それなら私はやっぱり半農半Xですし、一緒にやってる下宿のみんなも半農半Xと言えそうです。
となると私は「X」の部分は「下宿屋さん」ということになるのですが、みんなはどんな「X」をやっているのでしょう?
◎ちなみに「X」でみんななにやってる?

◆調べてみた。
「X」の部分なにやってるんだろうと調べてみると、
ライター、カフェ経営、NPO法人運営、歌手、Webクリエイター、デザイナー、染物作家、まちづくりコンサルタント、ゲストハウス経営、山岳ガイド、フリーター、大学生
などが出てきました。
特に傾向があるわけではなく、「なんでもOK!」って感じなのがよくわかります。
ただ、カフェ経営とかフェストハウス経営とかですと、食事に畑で採れた食材を使えたりして親和性が高そうだと感じ、ライターとかWEBクリエーターとかデスクワークが主な仕事になる職業は、息抜きや新しい創作アイデアの元にも「農的暮らし」が役に立ちそうだなと感じました。
◆安定化の一手
今や、会社員も安定的な職業ではないと言われますが、それでも自営業者よりは安定してそうです。
上で挙げた「X」はどれも自営業者ですから「収入が不安定」というところを「半農」で補うという意味合いが強いのだと思います。
「自給はできる」「食うには困らない」という収入面とメンタル面、両面での安定さを得ることができるのは結構強いと思います。
◎借りるのは簡単!

◆耕作放棄地
でも、やってみたいけれど畑ってそんな簡単に借りられるもんなの?と、普通は考えてしまいます。
結論から言うと「買うのは難しいけど、借りるのは簡単」と言えます。
買うのは「農地法」だとか「農業委員会」だとか、日本の農地を守るために、畑を違う用途で使われないために、農家しか農地を買えない・・・みたいな法律があります。
でも、借りるのはそんなに難しくありません。
移住先でいきなり借りるのは信用がなさ過ぎて難しいかもしれませんが、何年か住んで、知り合いもできたら、きっと人づてでいくらでも畑は借りられます。
(そういう方を応援するのも「篶竹荘」と「第2ペンギン荘」の役割です)(ちょいちょい宣伝を入れます)
私は畑の面積=60㎡が「ちょうどいい」ので今のところ拡大する気はありませんが、借りようと思えば2反(2000㎡)くらい借りられる場所を知っています。
また、農林水産省やなんかのサイト(●荒廃農地の現状と対策について(PDF・農林水産省))を見ても全国に「耕作放棄地」は令和元年の時点で13,200ヘクタールもあります。
みんな高齢化になり管理に困っているのです。
1反とかなら年間1万円とかで借りられるでしょうし、なんなら、「道端の草刈りを春と秋2回やる」とかでも貸してくれるかもしれません。
自治体でも応援している(●島根県における「半農半X」の取り組みとその実績をふまえた今後の取組方向 (PDF・農林水産省))ところがあるくらいです。
都市部ではさすがに難しいかもしれませんが、地方移住とセットで考えるならば要は「やるかやらないか」です。
やろうと思えばできる土壌がそこにはあります。
◆小さく始めるのが吉
ただ、借りるのは簡単と言いましたが、逆に借りれすぎちゃうかもしれません。
畑とかだと「1反」(1000㎡)とか単位なのです。
別の「読み物」「自給自足に必要な畑と田んぼの面積は?」で計算してみたのですが、一人で穀物、タンパク質、野菜すべて自給自足するとしても必要な面積は0.5反です。
0.5反と言えばかなりの面積で「半農半X」のはずなのに、農業機械などが無ければ、かなりの時間を農業に割かなければいけないレベルの面積です。
私は60㎡の畑でも結構だなーと思うところがあります。
もちろん、それ以上の喜びがあるのでやっているのですが。
関連の「読み物」を最後に載せておこうと思いますが、「農的暮らし、その前に。畑をやってわかったメリット・デメリット」などを参考に、まずは絶対小さく始めるべきだと強く思います。
◎まとめ

◆なんか楽しそう
「半農半X」について調べてみましたが、全体的には「楽しそう!」という印象でした。
というか、定義などを見てみたら自分も「半農半X」をすでにやっていて、楽しんでいるわけですから「楽しそう!」じゃなくて「楽しい!」なのです。
ただ、いまのちょうどいい面積60㎡に達する前には調子に乗って拡大して大変だった時もありますし、全然採れなかった年もあります。
「自給」するための「半農」とは言え、肥料を買ったり、資材を買ったり、種や苗を買ったりと結構な出費もあります。
労力だって結構割かねばなりません。
(そして割けば割くほど野菜たちはたくさん採れます)
◆費用対効果を考えよう
半農半Xとは言いますが必ずしも農:X=50:50というわけではありません。
お金だけでいう「費用」ではない、やりがいとか労力とか、楽しさとかを含めた、自分にとっての最適な「費用対効果」のバランスを見つけることが、半農半Xを楽しく続けるコツなのかもしれません。
合同会社SumSumではちょっと楽しい「ふつうの暮らし」や「日常」を提供すべく、下宿屋さんをやっていますが、「ふつうの暮らし」の楽しみ方は人それぞれです。
もう、自分なりの楽しさを見つけている人はいいかもしれませんが、まだ何が自分にとって最適な「ふつうの暮らし」「日常」なんだろう?と考えている方も多いと思います。
自分もまだ見つけられていないのかもしれません。
そんな方たちにとって「農業楽しいかも!」とか「昆虫おいしいかも!」(これはごく個人的です)のきっかけになるかもしれないと思い、プライベートの趣味と融合して下宿屋さんをやっているわけです。
また、いろいろな趣味の人が下宿にはいますので、新しい趣味や視点をみつけるチャンスになることも下宿(シェアハウス)の良さかもしれません。
◆関連「読み物」
また「読み物」を書いているのも、「下宿屋さん事業」だけではカバーしきれない「暮らし」とか「日常」を快適に過ごせる(かもしれない)アイデアを提供したいなと考えてのことです。
だいぶ濃厚なクセの強い「読み物」ばかり書いているのですが、別にブログで収入を得ようとしているわけではないので、マイノリティ向けに「こんなんおもしろそうじゃない?」みたいな観点で思いついたまま書き殴っています。
よかったら他の記事も読んでみてください。
なにか「びびっ」と来てくれる人がいたらうれしいです。
最後に、今回は「半農半X」の読み物でしたので、関連する役に立ちそうな読み物を羅列しておきます。
併せて読んでみてください。
それではでは。
▶農的暮らし、その前に。畑をやってわかったメリット・デメリット