【5000円小屋の作り方】竹と泥で居住可能な小屋を作る

小屋と古屋が好き

借りている畑に農機具を入れる小屋を作りました。

あくまで借りていていつ返すか分からないため、基本的に資材は現地調達、もしくは土に返る材料にしようと思いました。

結果的に、屋根材以外ほとんどお金がかからず、5000円で小屋ができてしまいました

材料はトタン波板、麻紐、竹、畑の泥、畑の雑草です。

てことで、「5000円で作れる小屋の作り方」についてです。

小屋と古屋が好きなので気を抜くとすぐ小屋の話になってしまいます。

以前にも小屋について、いくつか書いてきたのですが↓

小屋。DIY/セルフビルドで安く作るための工法とか。

→小屋などの安く「住居」を作る方法を考える。

4畳の物置小屋。改修した時の記録。

→第2ペンギン荘の庭先に合った倉庫を修繕した時の記録。

小屋を作る/小屋に暮らす

→畑に農機具小屋を作ったときの記録。

 

5000円にしては・・・ですが、逆に5000円でこんないい小屋出来るなら「みんなも作ったらいいのにー」と考えたので、その作り方の概要を紹介しようと思います。

本当に5000円で作れて雨風しのげてしまうので農機具小屋にしておくのはもったいないです。どうせなら誰か作って(他人事ですが)住んでみたら楽しいのになーと思っています。

(ちゃんと遊べる土地があるなら住む前提で竹と泥の小屋作ってみたいです。。)

実際に小屋を作ったときは雪とかの積雪荷重や屋根勾配の計算などもしたのですが、とりあえず今回は端折ります。

より詳しく知りたい方がおられましたら、お問い合わせよりご質問ください。

(※なお自治体により「小屋」の扱いが厳しい所やゆるい所があります。農機具小屋ならOKだったり、一定以上の規模だとダメだったり。建築基準法のことについては今回考慮していませんのでよろしくお願いします。)

5000円ハウスの作り方。

◆5000円小屋の平面プラン

以前作った農機具小屋をもとに作り出した平面プランです。

農機具小屋を作ろうと思ったときから、「何かあったら最悪寝泊りできる」的なことを考えて作ったのでほぼそのままのプランです。

平面図と立面図が左右逆になってますがお気になさらずにお願いします。

室内は約3畳です。

ベッド兼ソファに1畳。

フリースペースに1畳。

玄関と台所的な棚に1畳です。

トイレはありません。野山や畑に建てることを想定しているので肥溜めなどを作って発酵させ、有効活用すればいいと思います。

◆材料と道具

それでは、そんな小屋を作るための材料と道具についてです。

本当に少なく、5000円で小屋を建てることが出来るミニマムセットです。

メジャー(コンベックス)すら必要ありません。

それでは農機具小屋と居住するための小屋との違いはありますが、規模は同じですので、実際に作る際に使った材料と材料費を見て行きましょう。

●麻ひも(500m~1000m)→1000円。

●トタン(3枚)→3000円。

●傘釘(1セット)→300円。

●トンカチ・のこぎり・カッター(100均でよい)→300円。

●竹(数百本)→荒れ果てた竹林をきれいにするからと交渉してもらう。0円。

●粘土質の土(壁材として)→ある程度粘度があればOK。地面でよい。0円。

●イネ科の雑草(山で必要)→その辺に生えてる。0円。

●空き瓶(窓の分だけ)→拾うか取っておく。0円。

 

の計4600円+税です。

これでとりあえず、雨風凌げ、中で暖を取れば真冬でも「死なない程度」の小屋づくりが可能なことがわかりました。

◆作り方

次に作り方です。順を追って説明しますが、まず下の写真をご覧ください。

「あ。なるほどね。」となったかと思います。

とにかく切り出してきた竹を格子状に網み、振れ止めのためにたまに斜め材を組んでいきます。それに泥を塗りたくって壁にしたら出来上がりです。

まあ、簡単に言えばそういうことなのですが、手順もありますので、順番に説明します。

 

●1,竹を切り出す

材料費を惜しむために、竹がメインの構造材になっています。いや、竹が唯一の構造材です。

直径2~3センチの竹が加工性がよいため使用するのですが、一本一本ではあまり頑丈にはなりません。そのために大量に使います。

2~3mの長さの竹を2~300本用意しましょう。

竹はどんどん伸びて、竹林を所有している人も公道まで繁茂しないようにみんな四苦八苦しています。「きれいにする」を交換条件に竹林の所有者と交渉すれば快く分けてくれるはずです。

 

2,整地する

次に建てる場所を歩幅の雰囲気で整地しましょう。

メジャーもコンベックスも不要です。なんとなく足で平らにならし、なるべく踏み固めれば大丈夫です。

建設予定地に雑草が生えてれば、大事な建材ですので、刈り取って山にしておきましょう。

 

3,竹(柱)を地面に埋める

採ってきた竹をまずは四隅に突き刺し、小屋の大きさを決めます。

そうしたら、その四隅を繋ぐように15センチ~20センチ間隔で竹の柱を地面に突き刺していきましょう。

間隔は狭いほど丈夫になるので、定規の長さを思い出し、手のひらで測りながら、あまり間隔が広がらないように注意しましょう。

面倒くさいからと柱を間引いてしまうとあとで修正が効かないので、労力は惜しまずに。

※入口の部分はあらかじめ柱を間引いておく必要があります。

 

4,竹(横胴縁材)を格子状にしていく

柱が建ちましたら、今度は柱と柱を繋ぐように横材を格子状につけていきます。

はみ出た部分はのこぎりで切り落として成形します。

固定方法は麻ひもです。

私が建てた農機具小屋は借地のため最終的に波板屋根以外土に返るような材料で作りました。

より頑丈にするのでしたら、番線(鉄筋を固定するための細い針金)などもホームセンターで安く手に入りますので検討してみてください。(最終的には泥で覆ってしまうので錆とかの劣化はある程度抑えられるはずです)

ちなみに格子のピッチですが、私は農機具小屋でいつもそこにいるわけではないので積雪荷重を考えて格子の感覚を15センチ間隔にしましたが、実際に住むのでしたら雪は降ろせばいいので20センチ間隔の格子でも十分です。

 

5,屋根を葺く

屋根の下地も竹の格子で作ります。

間隔は壁と同程度で大丈夫です。

竹の格子が出来上がったらトタン波板を載せ、傘釘にて固定します。

 

6,泥と雑草を水を加えてこねる

次に壁を作って行きます。

おそらく雑草(建材)を引き抜いたエリアが土むき出しになっているはずですので、そこに水を混ぜて、足でクチャクチャかき混ぜます。

どろどろになってきたら、格子によく絡むように雑草を混ぜて行きます。

ちょうどお好み焼きのキャベツと小麦粉の関係です。

 

7,格子に絡むようにくっつけて壁を作る。

さきほど作った「お好み焼き」を格子に絡めて行きます。

泥と草の比率はコツがわかってくればだんだんとうまくなっていくので気にせずべたべたとくっつけて行きましょう。

あまりにくっつかない場合は最初に雑草だけ格子に絡ませておくと「お好み焼き」のノリが良くなります。

見栄えが気になるようでしたら、ある程度乾いた後で、泥100%のもので化粧してあげてください。漆喰か珪藻土なんか塗っちゃえばさらに見栄えは良くなります。

 

8,竹で扉と床を作る

おそらく竹の端材が余っているはずですので、麻ひもなどで工夫して、扉、ベッドなどを作るといいでしょう。

更に余ったら地面に敷けば靴を脱いでくつろげる床ができます。

 

9,\\完成です//

ちなみに、サバイバルでこんな家を建てる・・・というのを想定してメジャーやコンベックスなどは一切使用せず、すべて目分量と体のサイズ(歩幅とか身長とか)をもとに作成しました。ちゃんと作るのなら水平なども取りつつやったらもっといいものができると思います。

 

◆同じ手法で10000円の小屋はこんなかんじ

竹はいくらでも手に入るのでコツをつかんだら規模なんていくらでも大きくすることができます↓

ただし、2階建てや、2m×3mを越えるスパンで建てるのは屋根の竹格子(梁の役割)がおそらく持たないので、「2m×3mに出入口2箇所程度」のユニットを組み合わせましょう。

上の小屋は、2m×3mユニットひとつと1.5m×3mユニットをふたつ組み合わせた例です。

屋根用のトタン波板と麻ひもが増えるので1万円くらいかかっちゃいますが、それでもそんなもんです。

まとめ

◆規模もオプションも自由自在

建築学科の出で、10年ほど建築の設計・監理のお仕事をしてきたのですが、衣食住の中でなんで「住」だけ、35年ローンとか人生を左右するレベルの費用がかかるんだろうと不思議に思っています。(●衣食住の「住」だけなんであんなに高い?

(実際に積算するとそれだけの材料費と人件費がかかっているので、仕方がないのですが。。)

そこで、選択肢の一つとして「こういうのもアリなんじゃないか?」的な住居の方法を考えたり調べたりするのが好きなのです。

 

今回提案してみた「竹と泥の小屋」は土地さえあれば非常に安価で居住可能な住居を手に入れることができます。

室内空間が狭くなり壁厚を厚くするのを許容できるなら、スタイロフォームなどを組み込んで断熱効果を上げることもできますし、外壁を漆喰で塗れば防水性能も上がります。

内壁を漆喰で塗れば乾いた泥の埃っぽさを軽減でき、室内を明るくすることもできます。

5000円の小屋でも十分に住めますが、オプションをちょっと加えるだけでより快適な小屋暮らしも可能になるわけです。

 

田舎に行けば耕作放棄地なんかたくさんあるので、建てちゃえばいいんじゃないかと思ったりします。

厳密には建築基準法違反ですが、せいぜい1週間あれば建てられる小屋ですので、怒られたら壊して怒られないところに移住すればいいんじゃないかと。

法律破れとは言いませんが、人ひとり住むくらいの小さな小屋です。それくらい許容してくれる社会ならいいなと思っています。

◆なにより泥遊びはたのしい。

まあ、作って住むとか住まないまでも、大人になって泥遊びしてみて、やっぱり楽しいなと思いました。

粘土遊びもそうですが、本当に自由な形に作れるので創造力が掻き立てられます。

 

ちなみに、合同会社SumSumでは長野県松本市の中心市街地にほど近い浅間温泉という温泉街で「篶竹荘」と「第2ペンギン荘」という移住者向けの下宿(と銘打ったシェアハウス)をやっています(大学生もいます)。

こちらが本業になります。

ただ、みんなが快適に過ごせる「ふつうの暮らし」を提案するという理念のもと、色々な価値観があってもいいんじゃないかなと考え、広義の「暮らし」や「日常」をテーマにして、誰かにとってなにかのアイデアやきっかけになれればいいなと考えて「読み物」を書いています。

物理的に下宿(と銘打ったシェアハウス)では移住したい方、松本で暮らしたい方、大学生などごく一部のカテゴリの方にしか「ふつうの暮らし」を提案できません。

適当に思いついたまま結論も決めずに書き殴っている文章ですが、こちらの「読み物」が誰かにこれまでの暮らしを考え直す「きっかけ」を作れたらと思っています。

他にもいろいろなこと書いていますので、のぞいてみてくださいまし。

また、長野県や松本への移住をお考えの方がいらっしゃいましたら「篶竹荘」「第2ペンギン荘」をご検討ください。

それぞれのサイトやInstagramでは下宿での日常が分かるようなブログや投稿をしています。

こちらの合同会社SumSumの「読み物」とは全然違った感じですので、見てみてください。

それではでは。