【温泉街】×【下宿街】SumSumが目指したい浅間温泉は”暮らす人”×”訪れる人”の温泉街。

◆松本市は観光地だから・・・

松本市は観光地である。

北アルプス、乗鞍高原、美ヶ原高原と自然の資源もあり、松本城、開智学校、あがたの森を代表として歴史的・文化的資源も豊富である。素敵なお店もたくさんある。有名どころじゃないところも含めればそれこそ星の数ほど(はいいすぎだけれど)ある。

そんな街でまちづくりを語る際、どうしても観光客、訪れる人目線のまちづくりが語られがちである。

訪れる人向けにソフト面、ハード面を整えるのはやっぱり”外に開かれた“まちづくりだし、人の目につくことも多く、とても目立つ。街に貢献したい人にとっては、評価されやすくやりがいも感じることが多いだろう。

だけれど、一見悪くとらえられがちな”内に向けた“暮らす人、地域住民が楽しい暮らしを送れるような街づくりもやっぱり大切なんじゃないかと思うのだ。

こちらは逆に全く目立たない。コツコツとやっていても行政すらなかなか気が付かない。(大切なことだと思うけれど)地味な活動なので評価もされにくいし、結果的にやりがいも感じにくいので、まちづくりをしたい人もこちらにはなかなか手を付けないジャンルである。

でも、思うのだ。

暮らす人あっての街、だと。

暮らす人が楽しく快適に暮らせる街ならば、その雰囲気が伝わり、訪れる人も「いい街だ!」と思ってくれると信じている。

 

 

◆SumSumはいつもマイノリティ

弊社の名前は合同会社SumSumである。

長野県松本市の温泉街・浅間温泉の地で下宿みたいなシェアハウス「篶竹荘」と「第2ペンギン荘」をやっている。篶竹荘は2015年からで、松本市内のシェアハウスでは最古参である。

ただ、認知度は非常に低い。本当に低い。篶竹荘以降次々に出来てくるシェアハウスの方が断然認知度が高い。

それは当荘は「ふつうの暮らし」をテーマに掲げていて、松本が好きで移住してくるけれど、何か街に常に影響を及ぼすような活発な人、というよりは普通に楽しく暮らしてみたい人に入居してもらい、そして応援したいからである。

結果的に活発にイベントを開き、認知度をどんどん高めていくタイプのシェアハウスとは一線を画しているし、いつまでたっても爆発的な認知度向上にはつながらないというデメリットにもなっている。

あくまで、暮らす人を応援したいからである。

ふつうの暮らしは目立たないのが持論である。みんなだってSNSでは見られない慎まやかな日常を送っているはずである。

「SumSum」とはすなわち「住×住」または「Sum=四則計算の和」の意味である。住民同士が独立共生、しつつも和をもってつながり合って暮らして行くことで楽しい街にしていこうという思いを込めているのだ。

SumSumは表向きはシェアハウス屋さんであるが、自分たちは一貫してまちづくり会社であると思って活動してきている。地域が楽しくなれば自分も楽しいし、シェアハウスの住民も楽しく暮らせるはずだからだ。

逆に言えば、シェアハウスを通して、移住者を増やし、松本市内随一の高齢化率だという浅間温泉の若返りを図り、新しい流れを作る・・・という相乗効果を狙っているのである。

なので、当荘は町会活動への参加や祭りへの参加を必須にしている。

そんなシェアハウス、松本市内ではウチだけである。結果的に地域とのつながりを面倒くさがって入居希望者が離れて行ってしまうこともあるけれど、合同会社SumSumは表向きはシェアハウス屋さん、裏向きにはまちづくり会社である。やっぱりそういった活動が苦にならない人に住んでほしいと思っている。

浅間温泉はそもそも古い街だ。お風呂も街の湯仲間(共同浴場)を使う。要は日常的に地域の方と接する機会が多いのだ。

浅間温泉の温泉文化は松本市内に類を見ない独特の文化である。その独特の文化を大切にしていきたいし、住む方にはやっぱりそれを楽しめるような人に住んでもらいたいと思っている。

長期的に見て浅間温泉、引いては松本市、長野県が楽しい街になってくれればいいという視点でも事業をやっている。

暮らす人主体のまちづくり。これは観光都市の中にあっては完全にマイノリティ側である。

合同会社SumSumは常にマイノリティ側に立ってきた。そもそもSumSumの源流は個人事業主主体で行っていた北深志のゲストハウス「カンデラゲストハウス」である。

こちらも市内のゲストハウスでは最初の同時期に出来た3軒のうちの一つで最古参だった。この時も、日本にもっとゲストハウスという安く長く旅ができる宿があればいいのにな、海外にはいっぱいあるのにな・・・と思って始めたのである。

そして、そのお客さんの中に松本に移住したいけれど、住みたい家がない、一人で住むのは不安である・・・という声を聞いて、シェアハウスの運営につながった。

協力し合ってみんなで暮らす、というスタイルがまだ松本市内に根付いていなかった頃の話である。

常にマイノリティ側に立ち、その認知度向上に努めてきた。

まちづくりに関してもやっぱり同じような立ち回りに結果的になる。

浅間温泉のまちづくりグループに参加していた時も、自分以外は全員、どうやって訪れる人を増やして浅間温泉を賑やかにしていくか?という意見であった。一方、自分だけはどうやって住む人を増やして浅間温泉を賑やかにしていくかを考えていた。

どんなにたくさんの人が訪れる街だからといって、その街を担っているのはやっぱり住んでいる人のはずである。訪れる人を増やすのに考えられるまちづくりと比べて、住む人を増やすという活動は即効性がないまちづくりだと実感しているが、「人が増えれば街もよくなる」というのを信じてコツコツと活動しているのである。

が、たまには大きく夢をぶちあげてもいいはずだ。

具体的に合同会社SumSumは浅間温泉の人口を100人増やしたい

浅間温泉は30年前と比べて人口が1000人減った。浅間温泉は非常にコンパクトな街で、半径1㎞以内に当時は4000人住んでいたが、今では3000人である。

本当は1000人増やしたいところだが、一人でやってる零細企業のSumSumでは限界がある。そこで、せめてその10分の1、100人くらいは人を増やせればいいなと思っている。100人でも住民が増えれば、浅間温泉だって住民向けのお店があたらしくできたり、街がいい方向に変わっていくはずだと信じているのである。

篶竹荘、第2ペンギン荘の定員は15名である。人口を15名増やすことには貢献しているが、やっぱり15人くらいだといくら即効性のない活動だからと割り切っていたとしても、あまりに効果が無いことが分かったのである。

合同会社SumSumはそんな即効性のないコツコツ型の、そしてマイノリティなまちづくりをしているのである。

 

 

◆暮らす人主体のまちづくりがあってもいいのでは?

ってことで、観光地というイメージが強い地域の中にあっても、もっと暮らす人の視点のまちづくりがあってもいいんじゃないかという話である。

特に浅間温泉はそういう点では複雑だ。

温泉街といえば一般的に観光地である。【温泉街】=【旅館街】だ。

だけれど、浅間温泉は下図にあるとおり、赤で網掛けした部分は温泉を日常的に使う住宅地。つまり【温泉街】=【住宅街】だ。

浅間温泉は温泉街を形成している地域の中でも全国的に見て住宅街の比率が高い温泉地ということである。(以前、信州大学の卒業論文に書いてあったけれど、書いた人の名前を忘れてしまった。ごめんなさい。)

そういう意味では暮らす人目線のまちづくりを目指しても十分わかってもらえるはずだ。

では住民目線のまちづくりとして合同会社SumSumのやれることはなんだろうと考える。

それはやっぱり「人口を増やす」を中心としたまちづくりなのである。その波及的な活動として、住む人が便利な街になるように、新しいお店に来てもらったり、浅間温泉で言ったら文人墨客の逗留地としても以前は使われていたから、例えばアーティストに来てもらったり、その周辺環境も豊かにしていくといったそういった手法である。

数は力だ!・・・と言ったりするけれど、一番シンプルなまちづくりは人を増やすこと、だと思っている。

結局街を作るのは人なのである。人を増やせばその頭数だけ街になにかしらの効果があるのである。

そして、そういったコツコツ型の時間をかけた地味なまちづくりがSumSumは得意である。(ただある程度評価はされたい承認欲求はあるけど・・・)

つまり、暮らす人目線のまちづくりとしてSumSumは「暮らす人を増やす」を中心として、その波及的活動である「お店の誘致」や「文人墨客の逗留地としての復活」あたりに手を伸ばす。

一方、訪れる人目線のまちづくりで「訪れる人を増やす」を中心として、訪れる人が楽しく過ごせるように「お店の誘致」や「イベントを開催する」

この二つの丸がある程度重なって賑やかになって行くのが浅間温泉にはもっとも適したまちづくりの形だと考えている。

単一的な街はつまらないし、浅間温泉はそもそも住む人と訪れる人双方が普通に過ごせる街だったので、そのポテンシャルは充分持っているはずなのである。

 

◆浅間温泉×下宿街としての復興。温泉と暮らす街、浅間温泉。

そういう意味での一例であるが、「暮らす目線の」街づくりとして、下宿街の復興がいいのではないか?と思っている。

温泉街が下宿街。浅間温泉は下宿の街

「温泉街の下宿屋」は偶然の賜物!!!?

湯治宿≒温泉街の下宿???

と、これまでもたびたび浅間温泉×下宿街についての記事を書いてきた。

その理由は、まずは信州大学への近さである。

かつて浅間温泉には多くの下宿屋があった。20年住んでいる私が知る限りでも数軒の下宿屋(ごはん出てくる)、学生下宿(ご飯出てこない)などを知っている。遊びにも行っていた。が、今はすべてが残っていない。

それは暮らしの嗜好が変わってきたからとよく言われるが、今、シェアリングエコノミーが一般的になってきた世の中では、むしろ共同して暮らす傾向の強い下宿屋的な暮らしの価値が再認識されているような気がするのである。

また、別の理由として、下宿=学生下宿でなくていいと思っている。

ここでいう下宿は下宿先・・・的な意味で、旅館業法における、食事を提供して月単位で賃貸する施設・・・を指すものでは無く、単に寄宿先としての意味である。

浅間温泉は温泉街で文人墨客を始め、住み込みの仲居さんに至るまで、「よそ者」を受け入れる土壌が培われてきた。何せ観光地としての側面があるので、常に「よそ者」が街にいる環境だからである。

つまり、移住者に優しい街である。

なので、学生だけでなく、信州に、松本に、移住したい人との親和性は高いはずで、そんな人も入れる施設がたくさんあればいいと思うのだ。

(そう思っているからこそ、SumSumは中心市街地ではなく浅間温泉でシェアハウスをやっているのだけれど・・・)

他にも浅間温泉が下宿街としての親和性が高いことは色々あるが、それは上記に挙げた別記事にも書いたような、書いていないような気がしているので参考にしてほしい。

ともあれ、浅間温泉が下宿街として復興すれば、それだけで住民がいっぱいになる。いっぱいになれば住民向けのお店ができる。もっと住みやすくなる・・・の好循環に入ると信じている。

そんなきっかけを作ることをSumSumはしたいと思っている。ひいては浅間温泉に暮らしている自分が楽しく暮らすため。

そんなわけで、下宿街を一例に、浅間温泉をどうすれば楽しい街になるのか、暮らす人目線のまちづくり、という点で語ってみた。

SumSumの活動は目立たない。それでもわかってくれる人は分かってくれると信じて、コツコツ地域のために頑張っていきたいと思います。

ではでは。

 

~ほかにも一人で”大量の”記事書いています!~(400本くらい・・・。)

▶合同会社SumSumおしらせ・読み物

→「こうやったらもっと暮らしって楽しくなりそうだなー」みたいなことを書いています。

→「ふつうの暮らし」「日常」をちょっと楽しくする提案やデータなどをもとにした考察みたいなのも。

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「ぽん」のInstagramをもとに短い文章で書ききれなかった情報を加えて「より詳しい」日常、ふだんの暮らしを投稿します。

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