◆コンパクトシティとは
国土交通省東北地方整備局・2003年にコンパクトシティについての記述がある。
郊外への都市的土地利用の拡大の抑制、中心市街地の活性化等を図るた
め、暮らしに必要な諸機能が近接し、効率的で持続可能な都市「コンパク
トシティ」を
国土交通省東北地方整備局・2003年 (6)「コンパクトシティの推進」
そう2003年のPDFである。
確かに2000年代初頭、「コンパクトシティ」は日本の街づくりで大変流行っていた。建築を大学でお勉強した頃にちょうど重なるので、私も完全にコンパクトシティにかぶれていたし、コンパクトシティこそがこれから日本の都市が歩む道だと思っていた。(なので研究も都市環境の観点からコンパクトシティを進めるような論文を書いた。自分一人でテーマを見つけてきて書いた論文だったけれど、その後も後輩たちに脈々と受け継がれているテーマになったみたいでうれしい。)
だけれど、2010年代くらいになってから全然コンパクトシティってワードを聞かなくなった。これは私のアンテナが壊れた時期とも重なるのでなんとも言えないが(今も壊れている)前ほどそのコンパクトシティ熱は無いように思う。
青森市だとか富山市だとか地方中心都市であれほど言っていたコンパクトシティもいつの間にかトーンが下がって「新たな発展形として・・・」みたいな感じで違う街づくりに移行しているようにも思える。
街づくりにも流行りがある。多分2000年代初頭はコンパクトシティが熱かったし、2010年代になると空家再生とかリノベみたいなのが流行ったような気がしている。
これが民間の中での話ならいいけれど、長期スパンで考える行政の都市計画とかだと話が変わってくるので微妙だ。
でも、行政だって何年かに一度都市計画マスタープランとかを改定するし、時代に合った街づくりってものがあるんだと思う。
で、コンパクトシティはオワコンになった。・・・のだろうか?
コンパクトシティは地域資源を都市部に集中させ人口を密集させることで、人口減社会によるリソースの減少を効率よく配置する・・・みたいな話だったと思うのだけれど、新しい技術によって必ずしもそんな必要が無くなってきてしまった。
それは個人的にリモートワークと自動運転だと思っている。
リモートワークは仕事をする場所を選ばない。
自動運転は移動に関して(時間以外に)住居の立地は関係なくなる。
たとえば、住環境のいい田舎に住んで、そこでリモートワークをして、買い物は車で片道30分かかるけれど、自動運転だから特にストレスは感じない・・・みたいな暮らし方である。
コンパクトシティの欠点として、都市に人口を集中させると結果的に都市部の地価などが上がり、お金持ちだけ公共施設や商店などが充実した街なかに住める、という格差が広がることが懸念されていた。
コンパクトシティじゃない今ですらそうなのだから、たぶんコンパクトシティになったらより顕著になるのだろう。
だけれど、リモートワークと自動運転によって別に都市部に住まなくても良くなった。ネット通販もそれに貢献しているかもしれない。
都市単位では東京都市圏などに住まなくても良くなるし、都市内では郊外に住んでもとくに不便は感じない。
リモートワークとネット通販はすでに普及しているからあとは自動運転だけである。
自動運転だって今後10年で飛躍的に進化すると思うし、一般市民に普及するのだってすぐだと思う。
・・・となるともしかして都市部よりもど田舎の方が熱いんじゃないかと思う。
私はずっと地方都市の中心市街地に住むのがもっとも住みやすい住環境だと信じて疑わなかった。買い物とか便利であり、とはいっても土地などが都心みたいにべらぼうに高いわけでは無いからである。
でも、買い物はネット通販と自動運転で事足りるようになる。
それならより安く、広く、自由に住める田舎が熱くなるのは当たり前のことのような気がするのだ。
松本市で言ったら旧・四賀村が熱いんじゃないかと思っている。乗鞍や奈川はいいんだけれど国道158号線があまりにも劣悪なため、松本の西方面だと波田、梓川、山形村、朝日村なんかがこれから注目されるような気がしている。
とはいえ、税収と言う限られた予算を効率よく使いたい行政にとっては郊外に快適な居住環境を求めて転居する人が増えるのはあまり好ましくないのかもしれない。
公共施設の維持や、インフラの整備など、人が住んでいるところに予算をつぎ込まなくてはいけないからである。
でも無い袖は振れない。
なのでこれは松本市の場合であるが、松本市立地適正化計画というある意味「お金が無いのでこのエリア以外は面倒見ません!」ともとれるエリアが選定された。「都市機能誘導区域及び居住誘導区域」である。
これは寂しいけれど仕方がない。人口が減っているんだし、使えるお金もどんどん少なくなっていくのだからどこかに集中投下するしかない。
これはコンパクトシティの発展形とも考えられる。
一方で「デジタル田園都市国家構想」(内閣官房)と言うのもある。
これは都市単位で地方に移住を促す政策なのだと思う。
都市間においては地方移住を促進し、地方都市においては選択と集中で中心部にリソースを割くといった感じである。
なので、この技術の進化によって地方都市のさらに郊外に住むのを嗜好する人たちへの対応はどうすればいいのだろう??
やっぱり橋が崩落しても直してくれないし、道もがたがた、それで事故に遭っても街中に住まなかったのはあなたの選択だから自己責任でしょ!・・・みたいな感じになるのだろうか??
コンパクトシティはオワコンだと思っていたけれど、立地適正化計画として都市部に公共施設などを集中させるという計画で実は続いていた。
都市間においてはデジタル田園都市国家構想として地方移住を促していることが分かった。
だけれど新しい技術革新によって技術的には超ど田舎に住んでも都市部と変わらない生活が送れるとしたら・・・みんな田舎に住みたいって思っちゃうのではないだろうか?
そうなると今の立地適正化計画とかももはや古くなってしまう気が・・・。
そんな気がしたわけです。
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