浅間温泉ステテコ共和国、建国。

◎ステテコ民族の存亡の危機。

◆浅間温泉は場所がすごくいい。

長野県の松本市。その中心街への自転車圏内に浅間温泉はあります。

僕はそこで「篶竹荘」「第2ペンギン荘」という下宿をやっています。

篶竹荘は2015年の夏から始めたのでそろそろ7年目になります。

始めたころは温泉街としてはどの旅館もツアー客に的を絞り過ぎ、宿内で食事や飲み会などをパッケージ化しすぎたあまり、個人旅行が主体になってきた昨今には周辺の飲み歩きするような商店が壊滅状態になってしまっていました。

そのあとを追うように、旅館のいくつかは営業をやめ業態を変えるところなどが出てきていました。

住宅街としても、僕が大学生の時はまだいくつか残っていた下宿も次々に閉鎖。篶竹荘をやるころには一軒も営業していませんでした。

ただ、浅間温泉は潜在能力、最近の言い方ですとポテンシャルのあるエリアなのです。

 

県内第2位を誇る松本の中心市街地に近い。

半径1㎞圏内に浅間温泉の街がすっぽり収まる。

温泉街(旅館街)と住宅街が混在している他の温泉地には見られない特色がある。

街にも近いのに美ヶ原高原など自然へのアクセスもよい。

 

などなど挙げればいっぱいでてきます。

 

そんな魅力にずっと気づいていたため、浅間温泉の地で下宿を始めたわけですが。

 

観光の側面としては浅間温泉はひと休止している感じでしたが、住宅街としての魅力はそのまま残っていました。

高齢化の波には抗えませんが、それでも浅間温泉のエリアだけで約3000人が暮らしています。

ちょっとした町です。すごくコンパクトにぎゅっとまとまっているので、これで商店が充実していたら住むのには全く困りませんし、ちょっと足を延ばせば松本の街中にも気軽に行くことができるのです。

今では市街化が進み、松本の中心街からも地続きで建物が並んでいます。

そんな松本の市街地内という立地にありながら、浅間温泉は温泉文化が色濃くあり、「湯仲間」という共同浴場が町中に点在しています。

いつでも入れる温泉がありますから、各家庭にお風呂は無く、昼夜関係なく、桶を持った住民たちがその辺を歩いています。

そのため

 

街の規模のわりに昼夜問わず、人通りがあるので防犯にも強い。

 

なども浅間温泉の良さかと思いますが、僕は上半身裸でステテコはいたおじいちゃんとかが普通に町を歩いている姿がとても好きなのです。

そして、それを日常の風景として受け入れてる浅間温泉がとても魅力的に感じるのです。

街場にありながらそんなことが許されるのは住民が多くする温泉街ならではじゃないでしょうか。

もし、ステテコ一丁でだらしない腹を出して松本駅を歩いていたら多分捕まります。

ステテコ一丁が許される。そんな町、想像するに、草津温泉とか野沢温泉とか旅館だけじゃなく住民もそれなりに住んでいる観光業だけに特化していない一部の温泉街しか思い浮かびません。

◆うれしいけれど、複雑な気持ち。ステテコ民族の存亡。

ところが篶竹荘を始めて数年が経った頃でしょうか。

ちらほらと浅間温泉にも新しい波がやってきました。

浅間温泉のまちづくりについての活動がちらほら芽吹き始め、新しいお店や宿ができる噂が出始めました。

やっとみんな浅間温泉のポテンシャルに気づき始めた!!とうれしく思いました。

そして、実際に今はちらほら新しいお店ができています。

まちづくりについては温泉街(旅館たち)としては切実な、どうしたら外から観光客が来るのか、どうしたらお金が落ちるのか、どうしたら若者にとって魅力的な街になるのか、目立つのかについて主に話されている気がしたのですが、下宿という浅間温泉で商売をしている身でもありながら住民でもある僕は複雑で「賑わって欲しいけれど、住んでる人もいっぱいいるよ。。」と思いました。

「住んでいる人が快適である」も大事なんじゃないかなーと。

あたらしいお店ができることで、うれしいなと思う反面、ステテコで歩いているおじいちゃんは歩きづらい街になっていくのかな?と思ったらちょっと寂しくなりました。

浅間温泉は上段で挙げた通り、観光客の来る温泉街としての立地の良さなどの魅力もありますが、住む人にとっても立地などの魅力があるのです。

だから人口は減りつつありますが、未だ浅間温泉地域に3000人が暮らしているのです。

新しく洗練されたお店はうれしい。

だけれど、ステテコ民族が存亡の危機に瀕するのは悲しい。

そんな複雑な思いになりました。

◆ステテコ共和国、建国。

ステテコ共和国」という言葉は開高健が船橋ヘルスセンター(超巨大な健康ランド。現在はららぽーとTOKYO-BAYになっています)を指して言ったとされています。(※)

誰もが家にいるようにヘルスセンター内でぐーたら横になったり娯楽に興じている姿からそんな言葉が生まれたのだと記憶しています。

それは浅間温泉で下宿をやろうとしたときから知っていたので、下宿屋さんをやることで、浅間温泉にステテコ共和国を作ろう!と2015年から考えていました。

でも、ごく一部の人にしか浅間温泉ステテコ共和国について言っていませんでした。

なんかダサいからです。

でも、運営を会社化して、会社と言えば「理念」みたいなの作らなきゃいけないんだよね?となり、カンデラゲストハウスや篶竹荘、第2ペンギン荘で目指していた「アットホーム感」。言い換えれば「おばあちゃんち感」。

それをもうちょっとだけかっこよく意味深に言い換えたのが「『ふつうの暮らし』を提供する」でした。

たぶん、それが最も自分が得意な分野だとも思いました。日常の延長線上を楽しくするみたいな。

お洒落さは自然と出せないのに、生活感はこれぞとばかりにあふれ出せてしまう。ゲストハウスに泊まった方や、下宿に見学に来た人が「おばあちゃんちみたい」というのはそういうことか、とそこで気が付いたのです。

「ふつうの暮らし」や「日常」は地味で目立たないけれど、誰もが過ごす大事な場所を提供するのだから、派手な方向や目立つ施設じゃなくても、住む人にはみんなが「そこそこ」快適な暮らしを送れるようにしよう、と考えました。

「そこそこ」が大事なのです。(「めちゃくちゃ」は飽きます。飽きるような暮らしは「ふつうの暮らし」ではありません。)

その日常の延長線上には浅間温泉の風景、「ステテコ一丁で歩くおじいちゃん」「パックしながら共同浴場から家路につくお姉さん」があるわけです。

これは日常感の極地。

非日常を売りにする宿には絶対に出せない浅間温泉の魅力の一つです。

全裸はもちろん犯罪ですが、上裸は許容範囲。

 

でも「浅間温泉にスタバが来る!」(非日常)とかだと、みんな「おお~っ!!」となるのに、「浅間温泉をこれまでどおり、ステテコ一丁で歩ける街にする!」(日常)と言っても「ええ~っ!?」となるのは目に見えています。

でもでも、その意義・大義名分は上にあげた通り、魅力の一つであるからですし、画一化した街より、玉石混交、いろんな要素のある街の方が絶対に面白いからです。

そこで、「ステテコ共和国の建国」を宣言することにしました。

国是は「ふつうの暮らしを大切にしよう」です。

なんか、ダサいし~、とずっと心の奥底にしまっていたのですが、なんか昨今の雰囲気的にステテコ共和国も存在感を(ほんの少しでもいいので)出していかないと、いつの間にかカメラを持ったお洒落な観光客だらけになって、住宅地としての浅間温泉やそこで暮らす普通の人が普通にしてきたことができなくなり、その文化さえも無くなっちゃうんじゃないかと危機を抱きまして。。。

ダサくてもいいからとりあえず言っとけ~、となりました。

だって、昨年、道端で大量の野沢菜を温泉で洗っていたら、それだけで観光客に写真撮られまくりましたよ?驚きました。日常のつもりでやっていたのに。

温泉で野沢菜を洗って漬ける。そんなふつうの暮らしが、日常の風景として認知されるような浅間温泉って住みやすいだろうな、って考えます。

決して、「温泉文化、再発見」みたいにどこぞの雑誌に組まれることはありません。

組まれないところにこそ快適な暮らしがあると思ってますし、あって欲しいと思います。

 

浅間温泉の非日常都市化。

それはそれで楽しいかもなのですが、やっぱり画一化はすごくつまらないと思います。

それは、全国の旅館がツアー客一本に絞って衰退したのと似ています。

画一化、良くない。

僕は一人じゃ恥ずかしくてなかなかお洒落な店に入れないのですが、洗練されたお洒落なお店(非日常)は大好きです。いい時間を過ごした~!と大変満足します。

でも、浅間温泉では日常勢として、「ふつうの暮らし」をするものとして、ステテコ共和国民でいようと思います。

その方が、浅間温泉い色んなレイヤーができるはずだと思いますし、そもそも、浅間温泉にある篶竹荘に住んでるんで「ふつうの暮らし」を快適にしたいと思う方に振れるに決まってます。

浅間温泉には3000人が「ふつうの暮らし」をしています。

やっぱり、そっち側も大事にしたいと思うのです。

 

本当は、ここから虚実織り交ぜた本題に入ろうと思っていたのですが、なんかものすごい長文になってしまったので、続きは後日書こうと思います。

とりあえず、ステテコ共和国、建国ってことでよろしくお願いします。

 

※ネットには「ステテコ共和国」なる言葉が一件も出てこなかったのですが、三浦展氏かなんかの本で見かけた気がします。

 

◎違った雰囲気で長野県や松本を知りたい方は。。

◆テーマは「移住」「ふつうの暮らし」「日常」などです。

もうほとんど同じ人が書いているので、隠しきれない個性はそのままに、ちょっと違う書き方で「ふつうの暮らし」とか「日常」を主題として書いています。

併せて読んでいただけると、より長野県や松本での暮らしが立体的に知っていただけると思います。

(と、言いますかSumSumの「お知らせ・読みもの」だけが異質です。)

ご興味ありましたらのぞいてみてください。

合同会社SumSumおしらせ・読み物

→もっともカタい文章を書いています。

→文章長め。

→「ふつうの暮らし」「日常」をちょっと楽しくする提案やデータなどをもとにした考察みたいなのも。

→自分にとっての「快適な暮らし」を求めている人にとって何かのきっかけになったらいいなと思い書いています。

→「会社のサイト」だから一番真面目に書かなきゃ・・・と思って書いています。

篶竹荘「ブログ

「ぽん」のInstagramをもとに短い文章で書ききれなかった情報を加えて「より詳しい」日常、ふだんの暮らしを投稿します。

→ブログの中ではもっとも「素」です。

第2ペンギン荘「お知らせ・ブログ

→第2ペンギン荘のマスコット「第2ペンギン」がいろいろやってみるていで書いています。

→一番DIYについて書いているかもしれません。

→ちょっとおふざけしています。

→一番楽しんで書いているかもしれません。

→第2ペンギンはこんなやつです↓(調子に乗ってラインスタンプも作りました。)

●Instagram「第2ペンギン荘

→第2ペンギン荘のInstagramです。

●Instagram「ぽん(篶竹荘と第2ペンギン荘)

→篶竹荘と第2ペンギン荘のInstagramです。

→篶竹荘に住んでいるので篶竹荘の投稿が多め。

→個人的な趣味を投稿して「大外れ」することも多い。