藤子・F・不二雄「並平家の一日」にみる「ふつうの暮らし」

中流家庭の中の中

「ふつうの暮らし」を提供することを社是みたいな雰囲気で考えているのですが、はて、「ふつうの暮らし」とはなんぞやと考えていたら、昔読んだ「並平家の一日」という藤子・F・不二雄氏の作品を思い出しました。

私は幼少期からドラえもんが好きでして、ドラえもんを読み過ぎたのち、ほかの作品を探し始めたころ、ちょうどオバQやパーマンが絶版になっていた不遇な世代でした。

自分より5歳年上ならばパオパオチャンネルなる毎日藤子アニメが見られる番組がやっていたり、5歳年下だったらもう少し多感な時期に「藤子・F・不二雄全集」が発売されたのに。。

それでもせっせと古本屋を回っては絶版本を買い集めたり、やがて文庫コミック化されたものを集めていたのです。

そこにあったのが「並平家の一日」。「T.P.ぼん」の主人公・並平凡(なみひら・ぼん)と同じ苗字ですが、多分関係ない家庭です。

描かれた時代は1970年代。内閣府「国民生活に関する世論調査」で自分の生活を「中くらい」と答えた国民が初めて9割を超えた時期でした。そこから「一億総中流社会」という言葉がはやりました。

画一化する国民の生活。〇〇歳で結婚、子供は〇〇人、趣味は〇〇、週末は家族で〇〇して、、、と判を押したように同じ生活が幸せだと感じていた時代。

そんな時代を皮肉った作品です。

並平家はThe中流家庭。あらゆる生活に関する数値が平均値。所得も医療費も起床から出勤までの所要時間に至るまで。

その平均をマーケティングに利用する・・・といったお話です。

では現代の「ふつうの暮らし」は?

一方、現代は「一億総中流社会」などという意識は薄れてきました。

現代版の並平家を考えてみると、大学卒業して(54.9%・2021年・文部科学省「学校基本調査」)普通に就職して(74.2%・2021年・文部科学省「学校基本調査」)年収は436万円(2021年・令和元年分民間給与実態統計調査)、30歳前後で結婚(2019年・厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況」)、子供は二人(2015年・国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」)・・・といった具合でしょうか?(適当に数字拾ってきてます)

ただ、カラーテレビ普及率90.3%(1975年)みたいな全国民が当たり前にライフスタイルに組み込んでいるモノやコトは少なくなってきているような気がします。

スマホくらいでしょうか?(86.9%・2021年・マイボイスコム株式会社「『スマートフォン』に関するインターネット調査」)

ニンテンドースイッチとか?Amazonプライム?ネットフリックス?・・・と思いましたがそれぞれ、2000万台、1460万人、600万人でした。

それに格差社会と言われている昨今では上と下の差が激しすぎて平均の意味があんまりなくなってきて、むしろ中央値で見た方がいいんじゃない?みたいな話もちらほら聞きます。

要は興味などのベクトルが人それぞれ四方八方に飛び散ってるので、その合計のベクトルの方向見ても別にそれが「一般的な趣味嗜好」って言えないんじゃない?ってことです。

格差社会≒多様化社会

人それぞれ収入源も多様、価値も多様、そうなるともちろん暮らしも多様です。

となると、「ふつうの暮らし」を「快適な暮らし」と言い換えてみたら、それも人それぞれってことになります。

と、なると前段落の平均的なご家庭向けに「ふつうの暮らし」を提供しても、「そうじゃないよ~」って方たちが快適じゃないわけです。

それに、前段平均ご家庭ならこれまでにあるフォーマットや情報で十分快適な暮らしができるでしょう。

私たちは「そうじゃない」2番目とか3番目あたりのカタマリにいる世帯・個人に快適な「ふつうの暮らし」を提供したいと思っています。

なんせ、私がそんな感じだから。やっぱり自分が快適だと思っていることをやらないと長続きしないですもんね。

と、いうことで。

こちらのブログでは下宿でなく会社のブログなのでちょっと数字を使ったようなカタい内容にしてみよう!と、住み分けをしているうんぬんを先日もお話ししましたが、同時にブログのアイキャッチ画像やら記事上部の画像を何気ない普段の暮らしで撮った適当な写真を載せることにしています。

なるべく飾らない下宿での生活を見ていただくことで、入居を考えてくださっている方々に生活のイメージができればなと思いまして。共感できる方に住んでいただくことが一番だと思いますので。

当然、小さな会社ですので、いろいろなライフスタイルがある中での一部の「ふつうの暮らし」しか提供できないのは承知の上ですが、みんなが快適な生活を送れるようなその一助になれたらいいなと、考えています。

それはそうと、蛇足ですが、「格差」社会と言うとなんかアレなんで、「多様化」社会とでも言えばいいんじゃないかなと思いました。

「格差」ってたぶん金銭面だけで見ているような気がするので。。お金なくても好きなことに費やせる時間があったらそれはそれで幸せな気がするのです。

ゴールデンウィーク過ぎたら冷涼な松本地域でも霜が降りなくなるので、また畑が始まります。

そんな暮らしをしております。

ではではー。