木賃アパートをカッコよく定義する。

◆木賃アパートとは?

木賃アパートとは本来は木造賃貸アパートの略ですが、一般的には1950年代からの都市部に人口が集中した時代に都市の住宅不足から大量に建てられた民営の木造アパートのことを指し、一般的には以下のような特徴を持っています。

①木造のアパート

②1950年代から高度経済成長期に建てられた。

③各居室は4畳半~8畳一室+収納

④風呂無し・台所(炊事場)/トイレ共用

⑤各室に靴を履いたまま入るのではなく、建物に一つある玄関で靴を脱いでから各室に入るという方式が多い。

⑥東京では山手線の外縁に沿って多く建てられ「木賃ベルト」とも言われている。

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアムが参考になる。

◆木賃アパートをカッコよくする。

そんな木賃アパートですが、木賃ベルトと言われるだけあって山手線の外縁部に今でも多くの木賃アパートが残っています。今でも残っているということで、1950年代~70年代当時には相当数の軒数があったことがうかがえます。

木賃アパートは水回りの設備関係が共同であったり、なんだったら風呂が無くて銭湯を利用するタイプだったりと、結果的に隣人や街の人と顔を合わせる機会が多く、結果的に交流にもつながるというメリットがあります。

そのため、一時期は低水準の住まいとして認識、敬遠されていた建物ですが、一周回って現在のシェアリングエコノミーの時代やシンプルライフを嗜好する時代にマッチしていると考えています。

こういった社会情勢の変化から、東京ではある意味資源とも言える木賃アパートを今風に再定義、もしくはリノベーションをして新たな価値を付加して活用するという、

モクチンレシピ

→築古賃貸物件の改修アイディアを軸に、空室対策や不動産活用を実現していくためのプラットフォーム(モクチンレシピのサイトより引用)

「かみいけ木賃文化ネットワーク

→上池袋にある木賃アパート「山田荘」から始まった木賃アパート活用のプロジェクト。

などの活動もあり、新たな流れも来ています。

また、東京の木賃ベルトとまでは行かないまでも、昭和中期に地方都市にもある程度人口が流入した経緯から、地方都市の市街地にも木賃アパートが残っている場合があります。

元々の数が少なかったので、結果的に残っている施設数も多くはありませんが、先ほど述べた通り、一周回って木賃アパートの暮らしは「古くて新しい生活様式」とも言うことができます。

ただ、その魅力はまだまだ伝わっていないような気がします。

そこで、自分なりに他の活動も参考にしながら、木賃アパートをカッコよく”見せる(魅せる)”手法を考えてみたいと思いました。

◆名前をカッコよくする。

個人的には「木賃」といういかにもレトロな響きが好きなのですが、知っている人が聞けば「ああ、低水準のボロアパートね」と認識されてしまいます。

そうならないために、まずは名前を変えることで、木賃アパートだけど、新しい暮らしなんだよ!とアピールすることを考えます。

「かみいけ木賃文化ネットワーク」では木賃アパートの設備の共有や不足を逆に街に出るきっかけと捉え、「“足りないものは、まちをつかう”ことを『木賃文化』」と定義しました。

か、かっこいい!!

もうこれでいいと思いました。

木賃アパートの良さってそういうことなんですよ。

シェアアリングエコノミーは50年間なら普通にあったんだな、と。

そして、今はその価値が再認識されただけなんだ、と。

そんな意味も内包されているような気がします。

「モクチン」とか「mokuchin」とかローマ風に「インスラ」とかって言い換えたらどうかな??と考えていたのが恥ずかしくなりました。

これからももうちょっとイイ感じの命名ができないか考えてみようと思います。

木賃アパートの「良さ」を内包したような新しい名前。なんか思い浮かばないかなあ??

(「ソーシャルアパートメント」とかどうかな??と思っていたら素朴なアパートというより、もっと上質な住空間を提供する施設でもう使われている言葉でした・・・残念)

◆設備をカッコよくする。

この記事を書くにあたって、まずは小見出しを考えたのですが、調べて行くうちに「モクチンレシピ」にたどり着いたので、大まかにはこんな感じです。

築古物件たる木賃アパートを現代の生活様式に合った改修を施すことで、付加価値を与えるという・・・。

ただ、私の考える木賃アパートの活用はモクチンレシピのそれに比べるともう少し、「古き良き」を残した感じのイメージのような気がしています。

キレイに改修するところはする、水回りなどの設備を整える、土間などの共有空間を広くする・・・などは共通していますが、全部を新しく変えてしまうのではなく、逆にどうやったら当時の面影をなるべく多く残せるか、に注力したい感じです。

そのまま使えるなら、なんなら改修しなくてもいいくらい。

だけれど築5~70年経っている建物がほとんどの木賃アパート。設備などは完全に更新時期を過ぎていますので、どうせ新しくするなら現代の価値に合った設備にしよう、そんな感じです。

◆木賃アパートの良さを再認識する。

ということで、木賃アパートの暮らしは、ほどよい隣人関係、ほどよい街とのかかわりを通して暮らしを”物質的ではなく“豊かにする暮らしだと思います。

むしろ、木賃アパートは物質的に不足しているからこそ、豊かな暮らしを体現できるものだとも考えられます。逆に。

そんな木賃アパートの暮らしの良さを再認識してもらうために、名前や設備をイイ感じに更新させることによって認知度を高める必要がありそうですし、すでに活動されている方も新たな付加価値を与えて、良さを知ってもらっている感じがしました。

もともと都市部に人口が流入したことから大量に建てられた木賃アパート。そのため、東京に多く、地方には少ないがちらほらと残っていることは先に述べました。

この木賃アパートの暮らしは東京の人だけが求めているわけでなく、地方でも共通していると考えます。

逆に言えば、地方ほど木賃アパートが残っている軒数が少ないので、活用するなら急務になってきます。

合同会社SumSumでは長野県松本市の温泉街・浅間温泉の地で「篶竹荘」と「第2ペンギン荘」という下宿みたいなシェアハウス、もしくはシェアハウスみたいな下宿を運営していますが、シェアハウスはシェアハウスの良さ。木賃アパートは(ちょっと暮らし方に共通している部分も多いけれど)木賃アパートの良さがあると思っています。

木賃アパートの暮らしのイメージは今風のアパートとシェアハウスのちょうど間くらい。

そんな木賃アパートの暮らしの豊かさをみんなに認知してもらって、なおかつ(出来れば)そんなサービスを提供したいと考えています。

合同会社SumSumは「住×住」または”住”が合わさって(sum=計算するときの”和”の意味)暮らしを豊かにしていこう!・・・という意味を持っています。

木賃アパートも暮らしを豊かにする選択肢の一つだと思っています。これからも木賃アパートの動向を見ていき、出来ればヘイシャも貢献出来たらしていきたいと思っています。

◆キャッチフレーズを付けてカッコよくする。

ってことで最後に木賃アパートのキャッチフレーズをいくつか考えておしまいにしたいと思います。

古くて新しいちょっと不便な豊かな暮らし

街に出よう

不便な暮らしを楽しもう

集う場所、木賃アパート

うーん、ちょっとカッコつけすぎで鼻につく気がしないでもない。

・・・ではでは。

 

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